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4回生の瀬戸君が学会デビューしました!
9月23日と24日に帯広畜産大学で開催された日本育種学会第142回講演会に、4回生の瀬戸将太君と半田先生が参加しました。瀬戸君はこれが学会発表デビュー戦です(写真)。
☆ 発表演題は以下の通り。
「コムギのCd低蓄積性に関するRNA-seq解析」(瀬戸)
「日本コムギ系統の圃場におけるコムギいもち病抵抗性の
評価」(半田)
当研究室がサポートする京都府立桂高等学校の育種研究提案が「第6回 高校生科学教育大賞」の最優秀賞を受賞しました
京都府立桂高等学校(京都府京都市)の研究提案「懸崖菊優良品種の茎頂培養による保全と重イオンビームによる新品種の育成」が、バイテク情報普及会が主催する「第6回 高校生科学教育大賞」で最優秀賞を受賞しました。
https://cbijapan.com/education/
「高校生科学教育大賞」は、これからを担う高校生が「植物バイオテクノロジー」と「持続可能な農業」とについてより深く学び考えるきっかけつくることを目的に2017年に設立され、毎年支援対象校を公募しているものです。上記の研究提案では、本学科の野菜花卉園芸学研究室卒業生の宮脇潤先生が関わり、高校での教科、TAFS(課題研究:第2研究群、教員3名、生徒38名)の授業において、植物バイオテクノロジーの技術を利用して、京都の伝統的な在来品種や栽培方法の保存、地域の農業振興などにも貢献されています。 今回は3名の生徒が研究提案を行い、京都府向日市の特産品である懸崖菊(けんがいぎく)の生産農家が1軒だけになった状況をバイオテクノロジー技術で救おうとする着想が高く評価され、受賞に繋がりました。
この研究では、重イオンビーム照射を理化学研究所 仁科加速器科学研究センター 生物照射チームが、植物組織培養技術を当研究室がサポートしています。
イネBSR2遺伝子の過剰発現によりトレニアへの病害抵抗性付与と花器官の大型化に成功し、その成果がInternational Journal of Molecular Sciences誌に掲載されました
花き園芸植物の育種においては、さまざまな病害に対する抵抗性を付与することが、生産性や日持ち性を向上させる上での最重要課題となっています。私たちは、過剰発現によりイネやトマトに病害抵抗性を付与することが示されているイネの遺伝子BSR2を遺伝子組換えによりトレニアに導入し、抵抗性の付与を試みました。その結果、Rhizoctonia solani(斑紋病菌)および Botrytis cinerea(灰色カビ病菌)に対する抵抗性が付与されたことが明らかとなったほか、花器官が大型化した花が得られました。BSR2遺伝子は病気に強く経済的にも価値の高い観賞用作物を開発するための有効な戦略となると期待できます。
本研究は,農研機構・生物機能利用研究部門 森 昌樹 博士らとの共同研究によるものです。論文は2022年4月25日に科学雑誌International Journal of Molecular Sciencesに掲載されました。
ガンマ線照射によるコムギの欠失変異体の形質変異に結びつくゲノムの欠失領域を、次世代シークエンス技術を用いて簡便に検出する手法を開発した論文がBMC Genomicsに掲載されました
コムギのガンマ線照射変異体の中には、新規の有用な農業形質を示すものがあり、育種材料として利用されています。しかし、その原因であるゲノム領域の同定はコムギのゲノムが巨大で複雑であるため、困難でした。
私たちは、最近明らかにされたコムギの高精度な参照ゲノム配列と次世代シークエンサーによるリシーケンス技術を組み合わせることで、コムギのような複雑なゲノムでもゲノムワイドに多型を評価し、ガンマ線照射によって生じた欠失などの構造変異をゲノム解読によって効果的に検出できる手法を開発しました。
この研究は、神戸大学、農研機構等との共同研究で、2022年2月9日にBMC Genomicsに掲載されました。
コムギの主要な種子貯蔵タンパク質の一つであるα-グリアジン遺伝子座の詳細な構造と品種間多様性を明らかにした論文がFrontiers in Plant Scienceに掲載されました
コメやトウモロコシにはないコムギの特徴の一つは、グルテンができることです。これにより、パンやうどんなどに加工することができます。グルテンは単一の物質ではなく、グリアジンとグルテニンが重合したものです。そして、グリアジンやグルテニンはゲノム中に複数の遺伝子が重複して存在していることが知られています。
私たちは、昨年11月に自らが解読した世界のコムギ15品種の高精度ゲノム情報(Nature 588, 277–283, 2020)を利用してコムギのグリアジンの一つであるα-グリアジンをコードする遺伝子座の詳細な構造解析と品種間比較を行い、品種間で遺伝子コピー数に大きな違いがあること明らかにしました。このデータは、今後、コムギの品質改良に大きく役立つものと期待されます。
この研究は、スイス・チューリッヒ大学、農研機構等との共同研究で、2021年9月3日にFrontiers in Plant Scienceに掲載されました。