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ハイスループット・ジェノタイピングデータを用いた日本のコムギコアコレクション(JWC)の解析から、日本産コムギの遺伝的多様性を明らかにした論文を、日本育種学会の学術誌Breeding Scienceに
この論文では、最新のゲノム配列を用いたハイスループット・ジェノタイピングデータにより、日本のコムギの各品種グループの遺伝的多様性について、より詳細な情報を提供しています。また、農業形質のアソシエーション解析により、日本のコムギ育種において遺伝子や対立遺伝子がどのように選択されてきたか、またそれらが世界の他の地域とどのように異なるかが明らかになりました。本研究は、優れた遺伝子や対立遺伝子を持つ遺伝資源がまだ十分に利用されておらず、コムギ育種に利用可能であることを示してます。
この研究は、農研機構の作物研究部門との共同研究によって行われたものであり、成果の一部は学生の森田くん(現M2)の卒業研究によるものです。
論文は2024年6月25日にBreeding Science誌で早期公開されました。
パンデミック化のおそれがあるコムギいもち病と闘うための強力な武器となる抵抗性遺伝子Rmg8を単離・同定し、その成果を世界トップレベルの学術誌Nature Plantsに発表しました
コムギいもち病は1985年にブラジルで初めて発生が確認され、近年南アジアやアフリカにも伝播し、今後パンデミック化の可能性がある病害です。また、葉にはほとんど病徴が出ず穂に一斉に発病し、最初の症状から1週間以内に穀粒が委縮し変形してしまうため、対策を講じる間もなく収穫皆無となることがあり、国境や大陸を超えて被害が拡大した場合は世界のコムギ栽培にとって大きな脅威となる心配があります。一方で、発生して間もない本病に対する抵抗性遺伝子の報告数は未だ少ないため、新規抵抗性遺伝子の同定や多様な抵抗性遺伝子の導入による新たな抵抗性品種の育成が望まれています。
私たちは、6倍体コムギの2B染色体長腕に座乗する抵抗性遺伝子Rmg8を単離・同定し、それが2A染色体にあるコムギうどんこ病抵抗性遺伝子Pm4の同祖遺伝子であることを明らかにしました。しかし、Rmg8にはうどん粉病に対する抵抗性はなく、病害抵抗性遺伝子の進化を考える上で興味深い結果となりました。Rmg8の単離・同定により、いもち病 抵抗性コムギ品種を開発がより一層進むものと期待されます。
本研究は、神戸大学をリーダーとして、岩手生物工学研究センター、農研機構、京都大学、京都府立大学、岡山大学による共同研究で行われ、その成果は2024年6月19日にNature Plants誌に掲載されました。