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コムギ突然変異体集団から見出された早生個体の原因遺伝子を突き止めた論文がMolecular Breeding誌に掲載されました
出穂期は小麦の栽培においてとても重要であり、環境に応じて細かく出穂期を調節することを育種により実現することが望まれています。私たちは、日本の冬小麦品種 「きたほなみ」の突然変異集団から早期出穂をする変異体を見出し、その原因が体内時計を構成する遺伝子Wheat PHYTOCLOCK 1/LUX ARRHYTHMO (WPCL-D1)のナンセンス変異であることを突き止めました。そして、WPCL-D1の機能喪失変異が早期出穂性の原因であるとともに、WPCL1のコピー数を制御することにより出穂期を微調整できることを明らかとしました。
この研究は、京都大学、農研機構との共同研究で、2024年5月21日にMolecular Breeding誌に掲載されました。
日本植物生理学会年会に参加しました
3月17日-19日に神戸国際会議場で開催された第65回日本植物生理学会年会(神戸年会)にM2の伊藤皓矢君、M1の石田玲子さん、3回生の塗木彩花さんが参加し発表・討論を行いました。
昨年9月の植物バイオテクノロジー学会と同様、英語でのポスター作成でしたが、2戦目ということもあり皆さん余裕で(?)こなせたようです。非会員の学生も発表がない場合は無料で参加できるという学会側のはからいもあり3回生の児玉君、坂元さんも現地で学会の雰囲気をつかむことができたようです。懇親会の神戸クルーズは国内ではなかなか例を見ないイベントだったと思います。
☆ 発表演題は以下のとおり。
[1P78]‘プリンセチア’(Euphorbia pulcherrima x Euphorbia cornastra)に高頻度で見られるT-DNA 切断現象は配列特異的に生じるか(伊藤)
[1Q62]虫こぶ形成植物ヌルデ(Rhus chinensis)のアグロバクテリウム法による形質転換系の確立に向けて(塗木)
[2Q07]花弁質感を改変したユーストマ(Eustoma grandiflorum)の作出にむけて(石田)
コムギ突然変異体を利用して、閉花受粉型コムギ変異体を作成する試みを紹介した論文がBreeding Science誌に掲載されました
閉花受粉は、ムギ類において病原菌感染のリスクを下げる形質の一つとして注目されています。オオムギでは、AP2転写因子遺伝子であるcly1が原因遺伝子として同定されていますが、六倍体コムギでは、cly1変異による閉花受粉は見出されていません。私たちは、突然変異体パネルを利用して、コムギAP2相同遺伝子の変異の同定を進めました。AおよびDゲノムのAP2変異体は開花しましたが、その鱗被のサイズは野生型に比べて著しく小さく、オオムギのcly1変異体に類似していました。同祖ゲノム上のAP2相同遺伝子の変異アレルを組み合わせることにより、閉鎖受粉型コムギが作出される可能性が示されました。
この研究は、三重大学、農研機構との共同研究で、2023年10月3日にBreeding Scienceに掲載されました。
書誌事項
Nanape AB, Haine HM, Sugimoto K, Kobayashi F, Oono Y, Handa H, Komatsuda T, Kakeda K (2023) Mutations within the miR172 target site of wheat AP2 homoeologs regulate lodicule size and rachis internode length.
日本植物バイオテクノロジー学会、日本育種学会に参加しました
☆ 発表演題は以下のとおり。
◆第40回日本植物バイオテクノロジー学会(千葉)大会
◯ 表皮細胞形態の制御による花弁質感を改変したユーストマ(Eustoma grandiflorum)の作出(石田)
◯ 虫こぶ形成植物ヌルデ(Rhus chinensis)の組織培養条件および形質転換系の確立に向けて(塗木)
◯ 高濃度硫酸銅添加による Eustoma grandiflorum の形質転換系の効率化と液体培養実生を用いた簡便な形質転換手法の開発(大坪)
◆日本育種学会第144回講演会
◯ 日本コムギ系統が持つコムギいもち病抵抗性遺伝子の探索(曽田)
オープンキャンパスは大盛況でした!
今年度のオープンキャンパスは4年ぶりに入場制限等のない通常開催となりました。幸い好天にも恵まれ、1号館2回の農学生命科学科の展示室も朝から来場者で大賑わいでした。たくさんの方々にご参加いただき、感謝しております。ありがとうございました。高校生の皆さん、また府大のキャンパスでお目にかかれる日を楽しみにしています!