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コムギの桴色を決める遺伝子Rg-B1を単離・同定するとともに、スペルト小麦の起源を明らかにした論文が、Communications Biologyに掲載されました
コムギの桴(ふ)色とは穂の外観の色のことですが、この桴色を決める遺伝子Rg-B1は、コムギのグルテンの構成要素の一つである低分子量グルテニンサブユニットをコードするGlu-B3遺伝子座の遺伝子型識別のための圃場マーカーとして利用されてきました。私たちは、サウジアラビア、スイス、アメリカの研究者と共同して、コムギの桴色遺伝子Rg-B1を単離・同定し、その実体はMYB転写因子であることを明らかにしました。また、その遺伝子解析を通じてオーガニック食品として欧米で人気のあるスペルト小麦の起源を明らかにし、その成果をCommunications Biologyに掲載しました。
世界のコムギ15品種の高精度ゲノム解読に関する論文が、世界トップレベルの学術誌Natureに掲載されました
世界10か国の研究機関と進めてきた「国際コムギ10+ ゲノムプロジェクト」にて、日本のコムギ品種農林61号を含む世界のコムギ15品種のゲノム解読に成功し、その成果が11月26日にNatureに掲載されました。これにより分子育種技術の開発に欠かせない品種間差についての比較ゲノム・進化ゲノム解析が可能となり、ゲノム情報を活用したコムギの育種研究や品種改良が国内外で飛躍的に進むと期待されます。
また、農林61号のゲノム情報解析の詳細については、11月27日付でPlant and Cell Physiologyにオンライン掲載されました。
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コムギのカドミウム低蓄積性QTL解析に関する論文がBreeding Scienceに掲載されました
カドミウムは、植物、動物を問わず生物の成育にとって有害な重金属です。コムギ系統中国165号(のちの品種びわほなみ)に由来するカドミウム低蓄積性を支配するQTLを見出し、2本の染色体の3つの領域にマップしました。今後、遺伝子の単離が期待されます。この研究は、農研機構西日本農研棟との共同研究で、2020年5月20日にBreeding Scienceに掲載されました。
ゲノム編集によるトレニア多弁化の論文がPlantaに掲載されました。
トレニアの雄ずいおよび心皮の形成に関わる2つの遺伝子(TfPLE, TfFAR)をRNAiおよびゲノム編集により機能抑制することで,多弁咲き(八重咲き)のトレニアの作出に成功するとともに,2つの転写因子遺伝子の協調的なはたらきについて明らかにしました。本研究は,農研機構・佐々木克友 博士らとの共同研究によるものです。論文は2020年4月24日に科学雑誌Plantaに掲載されました。