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オーストラリア・パースで開催された第3回国際コムギ学会に参加しました
9月22日-27日にオーストラリアのパースで開催された第3回国際コムギ学会(3rd International Wheat Congress)にM2の日向陽汰くんと半田先生が参加しました。
日向くんは初めての国際学会参加にもかかわらず、プレシンポジウムの口頭発表に選ばれ、多数の参加者の前で英語で発表するという大きなミッションを見事にクリアしてくれました(日本人で口頭発表に選ばれた学生は日向くんただひとり)。また、半田先生はパネルディスカッションの一つで座長としてメインステージの真ん中に座るという大役を果たしてきました。
学会には50を超える国から900人の参加者があって、2年前の北京大会がコロナ禍でオンライン開催になった分を取り戻すかの如く、大いに盛り上がった大会でした。また、パースはちょうどこれから春本番といった季節で、最終日を除いて天気にも恵まれ暖かで穏やかな気候のもと、楽しく有意義な6日間を過ごすことができました。
次回の大会は、2年後、2026年にイタリアのボローニャで開かれるとのことです。
☆ 発表演題は以下のとおり。
IDENTIFICATION OF WHEAT rDNA UNIT VARIANTS AND CHANGES IN THEIR EXPRESSION FOLLOWING PARTIAL CHROMOSOMAL DELETIONS
Yohta Hyuna and Hirokazu Handa
XPLORING WHEAT BLAST RESISTANCE GENES IN JAPANESE WHEAT ACCESSIONS
Kei-ichi Sota, Soichiro Asuke, Motohiro Yoshioka, Muhammad Rezaul Kabir, Pawan Kumar Singh, Yukio Tosa, Hirokazu Handa
京都府立植物園「100周年記念 大ぬりえ大会」でM1の錦さんが「植物園協力会長賞」を受賞しました
7月19日から8月25日にかけて京都府立植物園で開催された「恐竜時代の植物展 in 京都府立植物園」の一環として行われたコラボレーション企画「100周年記念 大ぬりえ大会」(京都府立植物園とステッドラー日本(株)のコラボ企画)にM1の錦ひかるさんが参加し、「大人の部」で「植物園協力会長賞」を受賞しました。
副賞として京都府立植物園100周年記念ロゴ入りTシャツとステッドラーの色鉛筆&鉛筆削りが授与され満面の笑みを浮かべた錦さんからは、「童心に戻って挑戦しました、アサガオの立体構造の陰影が難しかったです。」とのコメントを頂きました。おめでとうございます!
オープンキャンパス2024が開催されました。
今年も7/20(土)・21(日)の2日間でオープンキャンパスが開催されました。農学生命科学科では21日(日)に学科ガイダンス、模擬授業、研究内容展示、教員と学生による個別相談を行いましたが、37℃を超える猛暑にもかかわらず昨年を上回る来場者で会場もたいへんな熱気でした。植物育種学研究室は今年度は研究展示スペースを拡充し、コムギ交雑後代などの比較標本のほか、虫こぶや光るユーストマの樹脂封入標本などを展示しました。模擬授業では大坪先生が「花の色や形を自在にデザインする分子育種技術」というタイトルで午前午後の2回、ほぼ満員の600名近い来聴者に遺伝子組換えやゲノム編集技術を用いた花き育種の最新情報を提供しました。
見学に来てくださった皆様、ありがとうございました。また、研究展示で交代とはいえ6時間立ちっぱなしで説明し続けたメンバーの皆さん、お疲れさまでした。
ハイスループット・ジェノタイピングデータを用いた日本のコムギコアコレクション(JWC)の解析から、日本産コムギの遺伝的多様性を明らかにした論文を、日本育種学会の学術誌Breeding Scienceに
この論文では、最新のゲノム配列を用いたハイスループット・ジェノタイピングデータにより、日本のコムギの各品種グループの遺伝的多様性について、より詳細な情報を提供しています。また、農業形質のアソシエーション解析により、日本のコムギ育種において遺伝子や対立遺伝子がどのように選択されてきたか、またそれらが世界の他の地域とどのように異なるかが明らかになりました。本研究は、優れた遺伝子や対立遺伝子を持つ遺伝資源がまだ十分に利用されておらず、コムギ育種に利用可能であることを示してます。
この研究は、農研機構の作物研究部門との共同研究によって行われたものであり、成果の一部は学生の森田くん(現M2)の卒業研究によるものです。
論文は2024年6月25日にBreeding Science誌で早期公開されました。
パンデミック化のおそれがあるコムギいもち病と闘うための強力な武器となる抵抗性遺伝子Rmg8を単離・同定し、その成果を世界トップレベルの学術誌Nature Plantsに発表しました
コムギいもち病は1985年にブラジルで初めて発生が確認され、近年南アジアやアフリカにも伝播し、今後パンデミック化の可能性がある病害です。また、葉にはほとんど病徴が出ず穂に一斉に発病し、最初の症状から1週間以内に穀粒が委縮し変形してしまうため、対策を講じる間もなく収穫皆無となることがあり、国境や大陸を超えて被害が拡大した場合は世界のコムギ栽培にとって大きな脅威となる心配があります。一方で、発生して間もない本病に対する抵抗性遺伝子の報告数は未だ少ないため、新規抵抗性遺伝子の同定や多様な抵抗性遺伝子の導入による新たな抵抗性品種の育成が望まれています。
私たちは、6倍体コムギの2B染色体長腕に座乗する抵抗性遺伝子Rmg8を単離・同定し、それが2A染色体にあるコムギうどんこ病抵抗性遺伝子Pm4の同祖遺伝子であることを明らかにしました。しかし、Rmg8にはうどん粉病に対する抵抗性はなく、病害抵抗性遺伝子の進化を考える上で興味深い結果となりました。Rmg8の単離・同定により、いもち病 抵抗性コムギ品種を開発がより一層進むものと期待されます。
本研究は、神戸大学をリーダーとして、岩手生物工学研究センター、農研機構、京都大学、京都府立大学、岡山大学による共同研究で行われ、その成果は2024年6月19日にNature Plants誌に掲載されました。